風は、思い通りには吹かない。
こちらの望みや計画とは関係なく、
ただ、流れる方向を選び、速度を変え、
ときに止まり、ときに乱れる。
人生も同じで、
意図とは別の力が働き、
静かに配置を変え、
予測できない揺らぎを差し込んでくる。
そこには、秩序とも混乱とも言い切れない
カオス に似た性質がある。
完全なランダムではなく、
完全な規則でもない。
見えない要因がいくつも重なり合い、
わずかな変化が流れを大きく変える。
風が木々の並びを揺らすように、
人生の出来事もまた、
ごく小さなきっかけから
全体の形を静かに組み替えていく。
思い通りにいかないことを嘆くより、
思い通りにいかない“その状態”を
一つの現象として受け取る。
風にも、人生にも、
誰の意図もない。
ただ、そうなる。
ただ、そう流れる。
そのとき、
抗うことの力より、
委ねることの静けさが生まれる。
